映画フィルム作品【上映企画】

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MoMA
ニューヨーク近代美術館映画コレクション

そこにわれわれが感じるのは、目くるめく映画の自由である。映画にも古典はあるが、一世紀ほどの間に選ばれた古典はいつも古典でないものによって照らし直され、改めて時の試練(テスト・オブ・タイム)に耐えて行くことになる。MoMAは突然に姿を現す輝ける非=古典を見逃さず、上映し、保存し、古典の定義そのものを揺さぶってきた
(「フィルムの夢、映画の自由―MoMAコレクションの上映を考える―」(岡島尚志)より)

MoMAの通称で知られる「ニューヨーク近代美術館」。
その映画部門は、イギリス生まれの映画評論家アイリス・バリーの献身的な努力により、1929年の美術館設立の6年後、1935年に誕生しました。それから80年、MoMAは膨大なコレクションと野心的な上映プログラムで、常に世界のフィルム・アーカイブ活動をリードし続けてきました。

今回の企画では、映画草創期1905年に撮られた『ニューヨークの地下鉄』から、D・W・グリフィスやマック・セネットの短篇、ウォルト・ディズニー自身がつくった貴重なアニメーションや、ジョン・フォード、ハワード・ホークスの初期の名作、ジョン・ウェインの初主演作に1950年代ハリウッドの黄金時代を彩る作品群、アフリカン・アメリカンによる伝説的なインディペンデント映画や若き日のマーティン・スコセッシ監督が自身の両親を撮った貴重なドキュメンタリー、さらにはフィルム時代の終焉を暗示するかのような実験映画まで、多様で魅力的な作品群を美しいヴィンテージ・プリントでご覧いただきます。
MoMAの映画コレクションの豊かさと独自性を心ゆくまでご堪能ください。

日程会場地域
2014年11月22日[土]~28日[金]神戸アートビレッジセンター 兵庫県
2014年12月3日[水]~14日[日]広島市映像文化ライブラリー 広島県
2014年12月19日[金]~23日[火]山口情報芸術センター 山口県
2015年3月13日[金]~15日[日] 金沢21世紀美術館 石川県
2015年3月20日[金]~22日[日] 高知県立美術館 高知県
2015年4月25日[土]~5月17日[日] 川崎市市民ミュージアム 神奈川県
2015年6月27日[土]・28日[日] 京都国立近代美術館 京都府
2016年2月23日[火]~27日[土] アテネ・フランセ文化センター 東京都
2016年3月19日[土]~25日[金] 名古屋シネマテーク 愛知県

作品紹介

  • ビッグ・トレイル

    The Big Trail

    [1930年/122分/35mm/モノクロ]
    製作会社:フォックス/監督:ラオール・ウォルシュ/原作:ハル・G・エヴァーツ/撮影:アーサー・エドスン(70mm版)、ルシアン・N・アンドリオット(35mm版)/出演:ジョン・ウェイン、マーガリート・チャーチル、エル・ブレンデル

    19世紀半ば、苦闘の末にオレゴン街道の西の果てにたどり着く開拓民たちを描いた叙事詩西部劇。ジョン・ウェインの初主演作品としても有名。1980年代、70mmワイド版(グランジャー)がMoMAによって35mmシネマスコープ・プリントに復元された。

  • 暗黒の恐怖

    Panic in the Streets

    [1950年/96分/35mm/モノクロ]
    製作会社:20世紀フォックス/監督:エリア・カザン/原作:エドナ・アンハルト、エドワード・アンハルト/撮影:ジョー・マクドナルド/出演:リチャード・ウィドマーク、ポール・ダグラス、ジャック・パランス

    肺ペストの蔓延を防ぐため、ニューオーリンズの公衆衛生局の少佐とベテラン警部が殺人事件の容疑者を追い続ける三日間を描く。演劇出身のカザンが、多彩な映画的技法を採り入れる転機となったフィルム・ノワール作品。ジャック・パランスのデビュー作でもある。

  • バンド・ワゴン

    The Band Wagon

    [1953年/112分/35mm/カラー]
    製作会社:MGM/監督:ヴィンセント・ミネリ/原案・脚色:ベティ・カムデン、アドルフ・グリーン/撮影:ハリー・ジャクソン/出演:フレッド・アステア、シド・チャリシー、オスカー・レヴァント

    監督ヴィンセント・ミネリ、主演フレッド・アステア、MGMミュージカル映画の最高峰。アステア演じるトニー・ハンターは、かつての栄光再びと旧友のマートン夫妻が書き上げたミュージカルの舞台化を目指す。「ザッツ・エンターテインメント」は後年のアンソロジー映画の題名にもなった。

  • 悲しみよこんにちは

    Bonjour Tristesse

    [1958年/94分/35mm/モノクロ、カラー]
    製作会社:ホイール・プロ/監督:オットー・プレミンジャー/原作:フランソワーズ・サガン/撮影:ジョルジュ・ペリナール/出演:デボラ・カー、デイヴィッド・ニーヴン、ジーン・セバーグ

    フランソワ―ズ・サガンのベストセラー小説の映画化。南仏で父と夏を過ごす17歳のセシル。父が亡き母の友人アンヌと結婚すると知ったセシルは、二人の仲を裂こうとするが、それが思わぬ悲劇を招く。ジーン・セバーグのショートヘアが“セシルカット”として大流行、ジュリエット・グレコが唄う主題歌もヒットした。

  • [ アンディ・ウォーホル プログラム ]

    スクリーンテストーアンディ・ウォーホルの最も美しい女性たち(4人版)

    Four of Andy Warhol's Most Beautiful Women

    [1964年/15分/16mm/モノクロ]
    監督・撮影:アンディ・ウォーホル/出演:ベイビー・ジェーン・ホルツァー、アン・ブキャナン、アイヴィ・ニコルソン、サリー・カークランド

    数多く撮影された「スクリーンテスト」シリーズから編集された一篇。スーパースターになる「見込みのある」四人にスクリーンテストのポーズをとらせ、固定カメラから撮影することで、人物とその周囲の時間をフィルムに定着させる。

  • [ アンディ・ウォーホル プログラム ]

    ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ

    The Velvet Underground and Nico

    [1966年/67分/16mm/モノクロ]
    監督・出演:アンディ・ウォーホル/監督・撮影:ポール・モリシー/撮影|バーバラ・ルービン/音楽:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド/出演:ニコ、ルー・リード、ジョン・ケイル

    ウォーホルのプロデュースによってデビューした伝説のバンド:ベルベット・アンダーグラウンド・アンド・ニコの「ファクトリー」でのセッションを定点から観察する。NY市警闖入のハプニングもそのまま、ライブの時間の流れを提示する。

  • スウィート・スウィートバック

    Sweet Sweetback's Baadasssss Song

    [1971年/98分/35mm/カラー]
    製作会社:イアー・プロ/監督・脚本・音楽・出演(スウィートバック):メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ/撮影:ボブ・マックスウェル/出演:サイモン・チャックスター、ムヒューバート・スケールズ、黒人コミュニティ

    メルヴィン・ヴァン・ピーブルス監督/製作/主演の伝説のブラックスプロイテーション・ムービー。白人警官に追われるスウィートバックは、怒り、戦い、逃げる、どこまでも。2004年に監督がMoMAに提供したオリジナル素材によって復元された。

  • イタリアン・アメリカン

    Italianamerican

    [1974年/48分/35mm/カラー]
    監督・脚本・出演:マーティン・スコセッシ/脚本:マーディク・マーティン、ラリー・コーエン/撮影:アレックス・ハーシュフェルド/出演:キャサリン・スコセッシ、チャールズ・スコセッシ

    若くして名声を得たマーティン・スコセッシが両親を撮影した貴重なドキュメンタリー。食卓を囲んで交わされる親子の会話から、苦しい時代を生きた、あるイタリア系移民の家族史が立ち上がる。クレジットの最後にスコセッシ家のイタリア料理のレシピが登場する。

短篇作品

  • ニューヨークの地下鉄

    Interior N. Y. Subway, 14th Street to 42nd Street

    [1905年/4分/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ/監督:G・W・ビッツァー

    1904年に開通したニューヨークの地下鉄。14丁目駅を出発した地下鉄が42丁目駅に到着するまでを記録している。監督はグリフィス作品の名カメラマンG・W・ビッツァー。公開当時のナイトレートのオリジナル・ネガからニュープリントを作成。

  • 女の叫び

    The Lonedale Operator

    [1911年/17分/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:バイオグラフ/監督:D・W・グリフィス/脚本:マック・セネット/撮影:G・W・ビッツァー/出演:ブランチ・スウィート、フランシス・J・グランドン、エドワード・ディロン

    給料袋目当てに駅に押し入ろうとする強盗と、立て籠って助けを求める電信技師の娘の攻防、そして恋人の危機を知って汽車で駆け付ける機関士によるラスト・ミニッツ・レスキューが、クロス・カッティングの手法でスリルたっぷりに描かれる。

  • 男の友情

    Friends

    [1912年/13分/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:バイオグラフ/監督・脚本:D・W・グリフィス/撮影:G・W・ビッツァー/出演:メアリー・ピックフォード、ヘンリー・ウォルソール、ライオネル・バリモア

    メアリー・ピックフォードやライオネル・バリモアら後のビッグ・スターを配した一巻もの。西部の金鉱町を舞台に孤児の少女を巡る三角関係が展開するが、2人の男は古くからの友人であった…。

  • ツーリスト

    The Tourists

    [1912年/6分/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:バイオグラフ/監督:マック・セネット/撮影:パーシー・ヒギンソン/出演:メアリー・ピックフォード、チャールズ・ウェスト、ウィリアム・J・バトラー

    列車の停車中に付近の観光に出向いた一行が乗り遅れてしまったことから巻き起こる、セネットお得意のドタバタ喜劇。ネイティヴ・アメリカンの妻が自分の夫に対して馴れ馴れしく接する白人女性に嫉妬して…。

  • ニューマン劇場のお笑い漫画

    Newman Laugh-o-Grams

    [1920年/3分/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:ラフォグラム/監督・出演:ウォルト・ディズニー

    19歳のウォルト・ディズニーがカンザスシティーのフランク・L・ニューマンの映画館のために制作したアニメーション。映画界の大立者となる以前のディズニーをみることができる貴重な作品。

  • フラッシング・メドウズ

    Flushing Meadows

    [1965年/8分/16mm/無声/カラー]
    監督:ジョゼフ・コーネル、ラリー・ジョーダン

    現代アート作家として知られるジョゼフ・コーネルが、友人である家出少女ジョイス・ハンターの死を悼んで撮った哀悼の映画。コーネル最後の映像作品で、長く所在不明とされていたが、ジョゼフ・アンド・ロバート・コーネル記念財団がMoMAに寄贈した映画の中から2003年に発見された。

※東京国立近代美術館フィルムセンターでの上映時には以下の作品も上映しました。

  • 香も高きケンタッキー

    Kentucky Pride

    [1925年/71分/24fps|35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:フォックス/監督:ジョン・フォード/撮影:ジョージ・シュナイダーマン/出演:ヘンリー・B・ウォルソール、J・ファレル・マクドナルド、ガートルード・アスター

    なんと馬を語り手に綴られる、飲んだくれの馬主一家と二代にわたる競走馬の物語。伝統あるケンタッキー・ダービーをクライマックスに、当時の名だたる競走馬が出演している。ストローブ=ユイレをはじめ、フォード好きがこぞって絶賛するファン垂涎の一本。

  • 譽れの一番乗

    The Shamrock Handicap

    [1926年/67分/23fps/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:フォックス/監督:ジョン・フォード/原作:ピーター・B・カイン/撮影:ジョージ・シュナイダーマン/出演:ジャネット・ゲイナー、レスリー・フェントン、ウィラード・ルイス

    競馬が題材ながら、恋物語を軸に展開するヒューマン・ストーリー。フォードが自身のルーツの地アイルランドで初めてロケをおこなった映画で、祖先の地をアメリカとの対比でどのように描いたかが見どころ。以降の作品の原型となるイメージや演出技法は注目に値する

  • 雲晴れて愛は輝く

    Paid to Love

    [1927年/74分/24fps/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:フォックス/監督:ハワード・ホークス/撮影:L・ウィリアム・オコネル/出演:ジョージ・オブライエン、ヴァージニア・ヴァリ、J・ファレル・マクドナルド

    女性に興味のない小国の皇太子を目覚めさせるために父王と銀行家が女を金で雇うが、やがて若い二人は本当の恋に落ちる。ハワード・ホークス第4作のソフィスティケーテッド・コメディで、ルビッチやムルナウの影響を受けたという様々な技法の実験も興味深い。

  • タイタニック

    East Side, West Side

    [1927年/91分/24fps/35mm/無声/モノクロ]
    製作会社:フォックス/監督:アラン・ドワン/原作:フェリックス・リーゼンバーグ/撮影:ジョージ・ウェバー、テディ・パール/出演:ジョージ・オブライエン、ヴァージニア・ヴァリ、J・ファレル・マクドナルド

    裸一貫となった青年が、立身出世と恋愛を共に成就させ、中途にはタイタニック号の沈没事故も描かれるという通俗極まりない物語が、アラン・ドワンの恐るべき正確な演出により、珠玉の古典映画へと結実。日本などへの輸出用に"Titanic"とタイトルが変更された。

  • 邂逅(めぐりあい)

    Love Affair

    [1939年/88分/35mm/モノクロ]
    製作会社:RKO(レオ・マッケリー・プロ)/監督・原案:レオ・マッケリー/撮影:ルドルフ・マテ/出演:アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエ、マリア・オウスペンスカヤ

    ニューヨークへ向かう客船で出会った男と女。互いに許婚者を持ちながら惹かれあってゆく二人。別れ際に女は告げる「半年後に、エンパイアステートビルの展望台で待ってるわ」。しかし、彼らの運命は残酷にすれ違う。数多くの恋愛映画に今も影響を与えるメロドラマの古典。

  • 真昼の暴動

    Brute Force

    [1947年/98分/35mm/モノクロ]
    製作会社:マーク・ヘリンジャー・プロ、ユニヴァーサル・インターナショナル・ピクチャーズ/監督:ジュールス・ダッシン/原作:ロバート・パターソン/撮影:ウィリアム・ダニエルズ/出演:バート・ランカスター、ヒューム・クローニン、チャールズ・ビックフォード

    製作の前年に起きたアルカトラズ刑務所の暴動をモチーフに、ダッシンのスタイルを決定づけた男騒ぎのハードノワール。ウェストゲート刑務所を牛耳る看守長マンジーの横暴を許せず、ジョーは仲間たちと集団脱走を計画する。だがその中には裏切り者がいた。

  • 有名になる方法教えます

    It Should Happen to You

    [1954年/87分/35mm/モノクロ]
    製作会社:コロンビア/監督:ジョージ・キューカー/原案・脚色:ガーソン・ケニン/撮影:チャールズ・ラング/出演:ジュディ・ホリデイ、ジャック・レモン、ピーター・ローフォード

    『マイ・フェア・レディ』の名匠キューカーの日本未公開ラブコメディ。NYで有名になるには?それは街に自分の看板を作ること。主人公のアイデアに振り回される映画監督役でジャック・レモンが映画初出演。DVD化されているが今回の上映用に字幕を改訳。

  • ガンジャ&ヘス

    Ganja & Hess

    [1973年/113分/35mm/カラー]
    製作会社:ケリー=ジョーダン・エンタープライズ/監督・脚本・出演:ビル・ガン/撮影:ジェイムズ・E・ヒントン/出演:ドウェイン・ジョーンズ、マーリーン・クラーク、レナード・ジャクソン

    呪われた短剣で刺されたヘス博士は人間の血を求めて彷徨う。公開時、監督の意図に反し78分に短縮されたがMoMAがオリジナル版を復元。この伝説のブラックホラーは今年スパイク・リーの手で“Da sweet blood of Jesus”として現代版にリメイクされた。日本初公開。

  • ディケイシャ

    Decasia

    [2002年/67分/DCP/カラー]
    監督・脚本:ビル・モリソン/音楽:マイケル・ゴードン

    各地のアーカイブに眠る、劣化したナイトレートフィルム(1950年頃まで使われていた可燃性フィルム)を素材として編まれた映像作品。フィルムが曝される多彩な劣化(decay)の異様な美しさを映し出すとともに、それと元のイメージとが織り成す効果が、観るものの想像力を掻き立てる。

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