映写相談室【用語集】

あ行

アセテートフィルム
Acetatefilm
1909年より生産されていた不燃性フィルム。35mm上映用フィルムは1950年代初頭よりナイトレート(可燃性)フィルムの代替として使用されはじめた。しかし熱や相対湿度によりアセテート特有の劣化が起こりやすく(ビネガーシンドローム=初期症状:酢酸臭、収縮)1980年代後半より徐々にポリエスターベースへ移行していった。ネガフィルムは現在でもアセテートベースが使用されている。
インターミッテント・スプロケット
Intermittent sprocket
フィルムを送る機構(間欠運動装置)と連動したスプロケット。連続的に送られるフィルムを1コマ1コマ、アパーチュア部で停止させて光を通したあと、再びフィルムを送るというこの一連を繰り返すことを、間欠運動という。35mm映写機の間欠運動は十字軍とスプロケットを組み合わせたマルティス・クロス型が多い。これは一定速度で回転しているピン車のピンが十字軍の溝に入って十字軍が回転し、ピンが十字軍から離れている時に十字軍(インターミッテント・スプロケット)が停止し映写される。ピンが溝に入った状態で駆動させると装置に負担がかかり、またこの状態のまま映写するとフレームズレを起こす。
SMPTE
エスエムピーティーイー
Society of Motion Picture and Television Engineers(米国映画テレビ技術者協会)の略。SMPTEは映画、テレビなど映像技術全般に関する標準規格を策定しており、フィルム上映に関してはRP-40/35mmスクリーンチャートがよく使われる(RP=Recommendation Practiceの略)。

か行

巻掛け
かんがけ
複数巻に分かれているひとつの作品(通常5~10巻程度)を、1巻ずつ2台の映写機を使用して上映すること。玉掛け(たまがけ)ともいう。
カウントリーダー
Countdown film /leader
編集された映画フィルムの冒頭につける、カウントダウン・フィルムのこと。本編を保護する役割とともに、映写機のフィルムセット位置を確認する(スタート時にモーターのスピードが一定になるまで数秒かかるため、そのぶん本編より手前でセットする)ために必要。また題名、巻数、音の種類など、作品の情報が記載されていることが多い。
銀テープ
アルミ箔のテープで、プリント巻末付近のエッジに貼りつける。映写機側の無接点センサーがこれを読み取り、巻の切り替えを自動で行う。貼りつけ位置は各映写機の設定による。センシングテープ、銀紙(ぎんし)、銀テープ、無接点テープ、などの呼び方がある。
コマ落ち
何らかの原因で、あるべきフレーム(コマ)が欠落していること。

さ行

サウンドトラック
Sound track
1929年頃よりトーキーへ移行していくが、画として使っていた面積の一部を削って音声信号を入れる方法が主流となっていった。これが現在まで使用されているサウンドトラックである。サウンドトラックには光学と磁気があり、小型・大型映画は磁気サウンドトラックが主流だった。
35mmフィルムも光学再生より磁気再生の音質が勝っていた時代があり1950年代から70年代にかけて一部で使用されていたが、ドルビーがノイズリダクションシステムを発表し台頭してからは光学サウンドトラックが主流となった。
35mmの磁気が定着しなかった理由として、磁気サウンドトラックは摩耗や経年劣化しやすかったことがあげられる。また専用のサウンドヘッドが必要で、シネマスコープ版磁気サウンドトラック(4chステレオ)に関しては、磁気の面積をかせぐためにパーフォレーションのサイズを小さくした規格外のフィルムだったために、映写機もそれに対応するスプロケットローラーに交換する必要があった。そのためコスト面の問題でそれほど普及、定着しなかった。現在、35mmフィルムの磁気再生は困難になっている。
光学には「濃淡型」(デンシティタイプ)と「面積型」(エリアタイプ)がある。濃淡型は音の強弱を光の強弱に変えて焼き付けるタイプで、面積型は音の振幅を光の量と面積に置き換えて焼き付けるタイプ。濃淡型はモノラルのみで、1970年代初頭以降は面積型へ移行している。
以上がアナログサウンドトラックだが、1992年にはパーフォレーションの間の領域に、5.1チャンネルのデジタル音声信号を光学的に焼き付けるドルビーデジタルが開発された。またCDと同期させて再生するDTS、パーフォレーションの外側にデジタル音声信号を焼きつけるSONYのSDDS信号も普及した。
1995年頃よりアナログサウンドトラックは、含有銀の環境問題への対応、現像工程の簡素化などを目的に、シアンダイトラックに移行していった。シアンダイトラックは、それまで読み取りに使用されていたエキサイターランプが使用できないことから(再生レベルが-11dB下がる)、映写機側もレッドLEDに移行することを余儀なくされた。
なお光学録音の音の信号は、画より先行した位置に焼き付けられている。35mm上映プリント・光学録音の画音間隔は、ANSI SMPTEやISOにおいて[21±1/2コマ音先行]と定められている(日本の編集室においては、20コマ音先行とされている)。その他、35mm磁気録音:28±1/2コマ画像先行、16mm光学録音:26±1/2コマ音先行、16mm磁気録音:28±1/2コマ音先行など。
サウンドドラム
Sound drum
回転をムラなく円滑にするためにフライホイールが取り付けてある、ドラム型のローラー。音の読み取りを安定させるためにフィルム全面を接触せざるをえない構造になっている。サウンドドラムやこの周辺の調整ができていないとワウ・フラッターが起きる。
収縮
Shrinkage
アセテートフィルムやナイトレートフィルムに表れる劣化症状のひとつ。温度や相対湿度、経年変化などが原因で起こる。35mmフィルムで1%以上の収縮があると映写時にフィルムが痛む恐れがある。スプライサーにフィルムを固定したときに、パーフォレーションがピンにはめにくい時は要注意。劣化症状についての文献:映画保存協会HPより全米映画保存基金「Film Preservation Guide: The basics for archives, libraries, and museums」(NFPF 2004)他
スプロケット
Sprocket
フィルムのパーフォレーションにかみ合いフィルムを送る、円型の歯車の歯を指す。
全自動映写システム
2台の映写機を使って、1台目の映写が終了すると自動的に2台目の映写機に切り替わり映写を開始するシステム。1作品をつないで1台の映写機で映写する、または1作品を半分ずつつないで2台で映写する場合もある。1台目の映写機はフィルムを掛けたまま自動的に巻き返してくれるので無人での上映も可能だが、多くの映画館はスタート時の操作や巻き返しを手動で行なっている。実際には全自動の機能を使用していなくても、それを目的に作られた映写機を総じて「全自動」と呼ぶことがある。2台あるので巻掛けも可能だが、近年デジタルシネマプロジェクター設置のために1台を撤去している映画館が多い。

た行

褪色
Colorfading
温度や相対湿度、経年変化などが原因で起こり、アセテートフィルムに顕著にみられる。コントラストとカラーバランスの低下がみられ、特にシアン色素とイエロー色素の劣化が進むことで赤っぽい画像になる。最終的には色褪せた白黒のようになる。
チェンジマーク
Changeover mark/Cue mark
手動で映写機を切り替える際に必要なマーク。巻末付近の右上の隅に出る印で(多くは白や黒い丸)、7~8秒の間に2回出る。1回目はもう一方の映写機をスタートさせる合図で、2回目は映写機を切り替える合図となっている。瞬きをしても認識できるように、通常4コマずつ入っている。通常はラボにおいてポジやネガフィルムに直接穴をあけるため、「パンチ」と呼ぶこともある。
※正位置にマークがない場合は巻末の画より1フィート2~5フレーム、12フィート2~5フレームを目安に印をつける。後で元に戻せるようにエマルジョン面は決して削らず、エッジに見えやすいテープを付けて切り替えのタイミングをはかる。極力ダーマトグラフは使わない方が良いが、やむをえない場合はベース面に印をつける。

な行

乳剤
Emulsion
ハロゲン化銀の微細な結晶粒子をゼラチン液中に分散させたもので、フィルムの感光層としてベースに塗布されている。この層が像や色を形成している。
ノンリワインド映写機
1台の映写機でノンリワインド(巻き戻しなし)の映写が可能。全自動とは違い、再度上映する際は映写機への装填が必要なため「半自動」と呼ぶこともある。プラッターと呼ばれる大きな円盤が標準で3枚あり、1枚目の円盤が送り出し用、2枚目の円盤が巻き取り用になっている。3枚目は予備。映写機が1台のためスクリーンに対して正面に設置可能であり、2台映写に見られる水平方向の歪みはない。ただし映写中にトラブルがあった場合の復帰作業は困難。

は行

パーフォレーション
Film perforation
映画フィルムの両側または片側のふちに一定間隔で空けられている四角い穴。“目”と呼ぶこともある。カメラ・映写機のスプロケットやピンにかみ合い作動することで、フィルムが送られる。パーフォレーションの大きさや間隔は、ISO、JIS、ANSIで寸法が規定されている。
プリント
Print
上映用フィルムのことを「プリント」と呼ぶ。画・音原版から焼き付けた、完成したポジフィルムをさす。
フィルムゲート
Film gate
映写機のアパーチュア(光を通す窓)の位置に、走行しているフィルムを正確に保持するための機構部分。
ベース
Base
感光材料を塗布する支持体のこと。アセテート、ポリエスターなどがこれにあたる。

ま行

目切れ
“目”=パーフォレーション。目が切れているとスプロケットから脱線し、フィルムの走行に支障をきたす可能性が高い。

や行

ら行

リワインダー
Rewinder
フィルムを巻き返す装置。巻き返し機。なお現場ではフィルムは「巻き戻す」というよりも「巻き返す」という使い方の方が多い。

わ行

ワウ・フラッター
Wow and flutter
録音、再生機器の回転部のムラで発生する、周波数変動による音声の歪み。変動の周波数が約10Hz以下のものをワウといい(1秒間に10回以下の変動で周期が遅い)、約10Hz以上の変動をフラッタ(1秒間に10回以上の変動で周期が速い)という。

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