フィルム映写機についての疑問を、修理に携わる技術者たちにお聞きしました。
- Q.長年使用していない映写機を作動させたいのですが、電源を入れて回しても問題ないですか?
A.
いきなり作動させては危険です。できるだけ専門の技術者にメンテナンスをお願いしてください。長年使用していない映写機に必要な点検とは
- 電源の漏電(絶縁)のチェック
- 映写機の潤滑オイルが定量入っているか、劣化していないかチェック
- ベルト、スプロケット、ローラー、ゴム関係の部品の摩耗・劣化がないかチェック
- 通電する前に映写機のモーターを手回しし、重くないか、異音はしないかなど探る
- 手回しでインターミテント・スプロケットが静止している状態にし、モーターを始動させる(常時)。
- 映写機の清掃、特にプレートやスケートは必要があれば研磨を行う。
- 映写機のタイプによって対応が異なる
最低でも上記の点検が必要です。なるべく専門の技術者にメンテナンスをお願いしてください。
- Q.しばらく映写機を使用しない場合、どのように維持していけばよいでしょうか。
A.
映写機のタイプにより異なりますが、基本的には定期的に電源(モーター、ランプ)を入れ、まわしてください。機種によってはベルトを外しておいたほうが良いものもあります。また錆には注意が必要です。しばらく映写機を使用しないときの対応
- 環境により異なるが、2週間に1度、10分程度まわすと安全。
- 3ヵ月~6ヵ月に1度はランプを点灯し30分程度まわすと良い。その際、フィルムをかけて走行させたほうが良い。
- ゴムローラーは、サウンドドラムに密着させたままにせず上げておく(常時)。
- 錆防止のための策をとる。錆止めスプレーを塗布する、ビニール製のカバーをかけておくなど。
- 長時間使用しない場合は特に、オイルが劣化することを頭に入れておく(抜いておくか、劣化したら入れ替える)
- 映写機によって対応が異なる
- Q.フィルムのつなぎ目がスプロケットローラー部分を通過する際に目が飛んでしまいますが、どういった原因が考えられますか?またその際の対処をどうしたらよいでしょうか。
A.
まずフィルムのつなぎ目に異常がないか確認しましょう。映写機側はスプロケットの磨耗やローラーとの隙間が影響するので調整を行います。フィルムのつなぎ目がスプロケットローラー部分を通過する際に目が飛んでしまう原因と対処
- フィルムのつなぎ目に異常がないか確認する(テープが重なりすぎている、穴が開いていないなど)。
- スプロケットと押さえローラーとの隙間を観察する。フィルム2枚、またはスプライシングテープを貼った状態のフィルムを通したときに、きつくなく緩くなく通るよう調整する。
- その際は手前と奥の隙間がほぼ同じであること、軸がずれていないか、押さえローラーが回転することを確認する。
- スケートの圧を調整する。
- スプロケットの磨耗も影響する。機種によっては応急処置として、スプロケットを反対に差し替えてみる。
- 映写機によって対応が異なる。
- Q.音が聞きづらいが、フィルム(録音の状態)以外でどんなことが原因として考えられるか。/どういった手順で原因を探れば良いか
A.
フィルムの状態以外にも、映写機側の調整不備が影響します。清掃を行ない、サウンド読み取り部の調整は必ずメンテナンス業者にお願いしてください。再生音の状態が悪いときの対応
- 読み取り部(スリットレンズ、ソーラーセル)に汚れがないか確認をし清掃する。
- フィルムを通してエキサイターまたはLEDの光がサウンドトラック部分にきちんと当たっているか確認。
- フィルムの状態、映写機側の調整のほか、プロセッサー(プリアンプ)やミキサー、パワーアンプ、スピーカーの不具合も影響する。どの部分が原因なのか探ってみる。
- 読み取り部の調整は、必ずメンテナンス業者が行なう。