映写相談室【Q&A】

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Q.音が聞きづらいが、フィルム(録音の状態)以外でどんなことが原因として考えられるか。/どういった手順で原因を探れば良いか?

加藤元治氏の回答

[1]サウンドのセル(フィルムの音帯を受けるところ)とスリットレンズの位置が合っているか(ホワイトスキャン)。フィルムの音帯のピントは合っているか(リバーススキャン)。
[2]スリットレンズの汚れとセルの汚れ。汚れていたら綿棒にて清掃する。
[3]フィルムが正しく定速回転しているか確認する。定速でないとワウフラッターを起こすが、その場合はサウンドドラムのベアリングやプレッシャーローラーの調整が必要。
[4]映写機モーター回転不良及び駆動ベルトの不良(新タイプ型/サウンドと映写機が一体のボディ)
映写機モーターのセンターずれとカップリングゴムの不良(旧タイプ型/サウンドと映写機がセパレート)
[5] [1]~[4]は測定用フィルムと測定器によって確認、調整を行う。(=Aチェーン)
[6] [5]で異常がなければ、スピーカーやアンプの不備が考えられる。(=Bチェーン)

上田功氏の回答

音が聴きづらいと言う事ですが、まずはフィルムから音を取り出すソーラーセル部分にホコリ等が付着していないか清掃してみるべきです。フィルムのパーフォレーション部分には細かな粉が付着している事があるのでそれがソーラーセル部分に付着してしまい、音量が低くなってしまったり、明瞭度が落ちてしまったり、ということが、過去に自分の経験としてありました。

次に、通常いわれているドルビーの“A”チェーン調整ですが、スリットレンズのアジマス、フォーカス、及びクロストーク(周波数特性)などは常識的範囲内で調整されていなければなりません。

スピーカーが原因の場合もあります。ロースピーカーのエッジの破損、エッジの剥がれ、ハイスピーカーのボイスコイルの断線、ハイスピーカーのアッテネータ―の調整不良など、いずれもノイズ発生、音量低下、明瞭度の不足などの原因に成り得ます。

他には客席場内の形状が音場的に良くないとか、残響時間(通常1.2秒~1.5秒位)が長くて音源の位置が解りづらいなどがあります。

石井義人氏の回答

ドルビー製シネマプロセッサーを使っていない場合でも、インスタレーション・マニュアルのAチェーン調整とトラブル・シューティングのページは参考にするべきです。

  • まず、光学系の観察(レンズやセルの汚れなど基本的なところ)
  • 可能であれば(スキルと道具、調整用フィルムの用意が必要)、Aチェーン調整を行う

ここまでで、Aチェーン側に問題が無いことが確認できます。
次に、シネマプロセッサーまたはプリアンプの出力異常であるかどうかを確認する作業になります。シネマプロセッサーをバイパスモードで鳴らしてみたり、プリアンプの代わりにミキサーで増幅してみます。
これ以降は、音響機器(ミキサー、パワーアンプ、スピーカー)の問題になろうかと。

山形康人氏の回答

この件ですが、サウンド部分のアライメント調整になってきます。

◎測定器がない場合

― フロントスキャンの場合(エキサイター・LEDあります)

[1]フィルムを外した状態でスリットレンズ・ソーラーセルにホコリ・ゴミ等の付着がないかを確認。
[2]エキサイターランプの場合、光軸がスリットレンズとあっているか確認。
[3]スリットレンズから出た光がソーラーセルにちゃんとあたっているか確認。
[4]フィルムを通してその光がサウンドトラック部分にきちんと当たっているか確認。
[5]フィルムにあたっている光がすごく細くにじんでないか確認。

― リバーススキャンの場合(リバーススキャンはLEDのみです)

[1]フィルムを外した状態でLEDがきちんと発光しているか確認。
[2]LEDの光が きちんとCCDに直角であたっているか確認。
[3]フィルムを通してその光がサウンドトラック部分にきちんと当たっているか確認。

◎測定器がある場合

― フロントスキャンの場合(エキサイター・LEDあります)

[1]フィルムを外した状態でスリットレンズ・ソーラーセルにホコリ・ゴミ等の付着がないかを確認。
[2]エキサイターランプの場合、光軸がスリットレンズとあっているか確認。
[3]オシロスコープ・FFTアナライザーをセット。
[4]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA調整(オシロスコープ使用)。
[5]SMPTEのクロストークフィルムを通してアライメント調整(オシロスコープ使用)。
[6]バズフィルムを通してアライメント調整(オシロスコープ使用)。
[7]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA調整(オシロスコープ使用)。
[8]DOLBY Cat.69Pフィルムを通してスリットレンズ調整(FFTアナライザー使用)。
[9]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA調整(オシロスコープ使用)。

調整のため[5]~[9]を何度か行う時があります。

― リバーススキャンの場合(リバーススキャンはLEDのみです)

[1]フィルムを外した状態でLEDがきちんと発光しているか確認。
[2]LEDの光がきちんとCCDに直角であたっているか確認。
[3]オシロスコープ・FFTアナライザーをセット。
[4]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA 調整(オシロスコープ使用)。
[5]SMPTEのクロストークフィルムを通してアライメント調整(オシロスコープ使用)。
[6]バズフィルムを通してアライメント調整(オシロスコープ使用)。
[7]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA調整(オシロスコープ使用)。
[8]DOLBY Cat.69Pフィルムを通してCCDフォーカス調整(FFTアナライザー使用)。
[9]DOLBY Cat.69Tフィルムを通してHA調整(オシロスコープ使用)。

調整のため[5]~[9]を何度か行う時があります。

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